みなさんこんにちわ。宇治病院リハビリテーション部です。
本日は猫背について、お話しさせて頂きます。
猫背予防のためのストレッチや運動もご紹介していますので是非ご覧下さい。
その前に本日は、このリハビリブログに参加してくれる新メンバーを紹介します。
みなさんびっくりされたでしょうか?笑
彼はこれから姿勢のことを教えてくれるグリーンリハビリ君です😄
なぜこの格好かというと、全身の姿勢がはっきり分かるからです。
彼のような美姿勢を目指してがんばりましょう!!!
本日は猫背についてごお話しさせて頂きます。
後半には猫背に対する運動療法とストレッチングをご紹介します。
参考にして頂けると嬉しいです。
猫背ってどんな姿勢?
猫背とはいわゆる背中が丸まった姿勢のことを言います。円背(えんぱい)とも言ったりしますね。
普段、丸まって座っている姿勢が多い、しゃがんで作業することが多いなど、丸まった姿勢や活動を続けていくことで、徐々に背中が丸まっていきます。
猫背は急になるわけではありません。普段の姿勢や身体の使い方が原因で、徐々に姿勢が悪くなってしまいます。
悪くなる前に早めに予防することが大切です。
姿勢をチェックしてみよう
まずは真っ直ぐな姿勢を確認してみましょう。
一般的に良い姿勢とは、右図にある黄色の丸が縦におおよそ真っ直ぐに並んでいる状態を言います。
黄色の丸は上から順に、耳たぶのすぐ下にある耳垂(じすい)
肩の外側にある一番出っ張ってる骨である肩峰(けんぽう)
大腿骨の最も外側で出っ張っている大転子、外くるぶしのやや前方である外果前方が目標となります。
細かい部分は気にせず、とりあえず横から見て耳と肩関節、股関節、膝関節、足首が真っ直ぐであればオッケーです。
こちらが猫背、円背姿勢です。
特徴としては背中が丸まってしまい、それに伴い膝も曲がることが多いです。
背中が曲がることで全身も曲がった姿勢となりやすいです。
この姿勢は重心が後ろにあるため、常に赤線の太ももの前側の筋肉が過度に活動した状態となります。
膝関節には様々な筋肉がありますが、この赤線の前側を使いすぎることで、筋肉が硬くなったり、膝関節の痛みに繋がりやすいです。
また、重心が後方にあるため、後方への転倒リスクもあります。
この姿勢の原因は背中の丸まりだけではないこともあります。
しかし、1つの要因としては十分に可能性があるため
しっかり背中を伸ばすストレッチや運動が有効です。
猫背になりやすい姿勢
こちらはよく見る座った状態での猫背姿勢ですね。
デスクワークや電車でスマホを見る際に、このような姿勢になりやすいです。
背中が曲がってしまい、頭が前に出てしまっています。
頭の重さは体重の10%といわれており、ボーリングの玉ぐらいの重さです。
前に移動してしまった頭の重さを、支えるために肩や首の後ろの筋肉を常に使い続けています.
肩甲挙筋 僧帽筋上部繊維
具体的には肩甲挙筋と僧帽筋上部繊維という筋肉が過剰な活動状態となります。
この筋肉を過剰に使うことで筋肉が凝ってしまいます。
いわゆる肩こりの要因となりやすい筋肉です。
凝った筋肉をマッサージするのも良いですが、
普段からこれらの筋肉を使いすぎないように姿勢のケアをすることも重要です。
背中が真っ直ぐ伸びて、頭の位置が後方に修正できれば、肩や首の後ろの筋肉の負担は減るはずです。
不良姿勢 良姿勢
こちらも背中が曲がりやすい場面ですね。
重いものを持ち上げたり、下にかがんで作業する場面です。
左側の不良姿勢では膝が伸びて、腰が曲がっていることが特徴です。
この姿勢で持ち上げる動作を続けていくことで、背中が曲がることはもちろんですが、
腰に負担がかかってしまい、腰痛リスクが高まってしまいます。
右側の良姿勢では、背中を伸ばしたまま腰を落として持ち上げることで、
足の筋肉を使うことができ、腰痛リスクを下げることが可能となります。
不良姿勢では腰の筋肉で持ち上げることになります。
腰の筋肉は足の筋肉よりも細く、筋力も弱いため腰にかなり負担となります。
足の筋肉は面積が大きく筋力もあるため、持ち上げる際に右足を上手に使うことで、腰の負担をかなり減らせます。
腰痛がある場合はぜひ参考にしてみて下さい。
上の画像は脊柱といいます。一般的には背骨のことを指しています。
脊柱は上から順に頸椎、胸椎、腰椎、仙骨、尾骨と分けられています。
脊柱は全体で見た時にS字カーブを描いています。
正常な脊柱では胸の背骨は丸くなっており、腰の背骨はやや反っている状態が正常です。
画像のようにS字カーブを描いている状態が正常な背骨の状態です。
S字カーブのおかげで体重や地面からの衝撃を吸収できる構造となっているのです。
しかし、猫背姿勢になると胸の背骨である胸椎がさらに丸くなり頭が前側に位置するようになります。
腰の反りがなくなり全体的に丸くなったり、逆に反りが強くなってしまうことがあります。
こうなると、衝撃吸収としての機能は低下してしまいます。
さらに、体重や衝撃がどこか一部分にかかりやすくなり、痛みや傷害を引き起こしやすくなってしまいます。
猫背姿勢となることで身体の様々な部分に影響を及ぼしてしまいます。
猫背姿勢となると肩甲骨あたりの背骨を伸ばす筋肉が弱くなったり、前側の筋肉が硬くなったりと筋肉のバランスが悪くなりやすいです。
このバランス不良により肩や首、膝などにも影響を与えてしまいます。
また、骨や関節だけなく心肺機能や嚥下機能などにも影響を及ぼし日常生活動作に影響を及ぼすと考えられています。
猫背が身体に与える影響
・嚥下機能
嚥下とは食べ物を口に入れて食道、胃に送り込むことを言います。
実は食べ物や唾液を飲み込む際にも筋肉は必要なのです。
嚥下に必要な筋肉はおおよそ首から頭にかけての筋肉が必要となります。
猫背となることで嚥下に必要な筋肉の機能が低下することがあります。
理由としては猫背により頭の位置が前になることで、嚥下に必要な筋肉のバランスが悪くなってしまうからです。
嚥下機能が低下すると食べ物や唾液が食道ではなく、気管に入ってしまい肺炎となる可能性があります。
・心肺機能
猫背のような姿勢では、呼吸時にお腹や胸の動きが小さくなり横隔膜とお腹の筋肉の機能が低下すると考えられています。
呼吸をする際にはこの横隔膜の動きは必須です。
猫背になる事で呼吸時での横隔膜の運動が困難になり、呼吸が浅くなりやすくなってしまいます。
また、丸くなることで肺を包んでいる肋骨が潰されてしまうため、呼吸をする際に胸が広がりにくくなります。
こうなると、息切れがしやすくなるため体力低下にも繋がってしまいます。
・筋力
猫背になると膝を曲げて立つ姿勢を保持することになります。
通常の立つ姿勢にはほとんど使用しないような太ももやふくらはぎ、背中の筋肉を持続的に使用することになります。
そのため筋肉の使い過ぎによる痛みやこわばりを誘発する可能性が高くなるため、結果的に筋力が低下すると考えられています。
また高齢者では加齢による筋力低下もあるため、歩く際に地面をしっかり踏ん張れず、ふらふらしてしまう可能性もあります。
猫背を予防するために普段から良い姿勢をとることも大切ですが、常に良い姿勢をとることは大変です。
意識しすぎて逆に疲れてしまったり、同じ筋肉を使うためそこが硬くなったり、痛みが出てしまう可能性もあります。
良い姿勢も楽な姿勢も両方とれることで身体の負担が減ると思います。
では猫背を予防するためには何が必要なのでしょうか。
背中が丸くなるため、普段から背中を伸ばすようなストレッチや運動を行うことが大切だと考えます。
常に背中を伸ばしておくことは大変ですので、1日に何回かでも良いので体を丸くさせてしまう筋肉をストレッチし、伸ばす筋肉を使ってあげることで身体のバランスを整えてあげましょう。
これから、猫背姿勢の方に有効なストレッチや筋力増強訓練をご紹介していきます。
猫背は長年の不良姿勢によって徐々に起きてきたものです。
1回のストレッチや運動ではなかなか変化を感じにくいかもしれません。継続的に実施して自身の身体の変化をチェックしていきましょう。
猫背に対する運動療法とストレッチ
猫背ストレッチ①
【目的】
胸前のストレッチ。
背骨の上部分を反る(胸椎伸展)ことで柔軟性 UP。
【注意点】
肋骨周りが硬い人は腰を反ってカバーします。
腰の反りすぎは腰痛につながるので注意しましょう。
腰が反らない範囲で気持ちよく胸椎を反らしましょう。
猫背ストレッチ②
【目的】
胸前のストレッチ
背筋筋力 UP
【注意点】
腰はまっすぐキープしたまま、背骨の上部分のみ反らします。
コツは肩甲骨を引き下げつつ、背骨を中心に寄 せるようにすることです。
腰をまっすぐキープするコツは、恥骨を常に床へ押しつけておくことです。
運動療法①
【目的】
腹筋を鍛える。
【注意点】
うまく腹筋を働かせるコツは背中をしっかり丸めること。
頭を上げる時に、腰が反らないよう腰をタオルに押しつけることです。
運動療法②
【目的】
腰・骨盤の正しい位置の学習
腸腰筋活性化
股関節の分離的な動き
【注意点】
最初の姿勢を作るところが重要です。集中して丁寧に確認してみましょう。
脚を上げた時に体を丸めたくなると思いますが、最初の手のひら 1 枚分の隙間をキープしてください。
ペンを潰さないようにするとうまくいくと思います。
脚の上げ下ろしは片脚ずつ上げ下ろししてください。
両足とも一気に上げ下ろしすると腰痛に繋がる可能性もあるので注意が必要です。
運動療法③
【目的】
腹筋と背筋のバランスを整える。
上への伸びの意識化。
骨盤の正しい位置の学習。
【注意点】
最初の姿勢を作るところが重要です。集中して丁寧に確認してみましょう。
腰を反らさないコツは、息を吐いて腕を上げる時にお腹と背中をくっつけるイメージで薄くすることです。
ストレッチと運動療法を紹介させて頂きました。
これら全てを行うと大変ですのでご自身に合うものをやってみて下さい。
痛みが伴うようであれば負荷を弱めるか、別のものに挑戦して下さい。
運動療法では筋肉を少し使用した感覚があればオッケーです。
無理のない範囲で継続的に実施してみて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回は腰痛について投稿させて頂く予定です。
これからも身体の健康に関する情報を発信していきますのでよろしくお願い致します。