目次
・なぜ転倒予防は大事?
・チェックしてみよう!これが出来ない人は要注意!
・バランストレーニング
なぜ転倒予防は大事?
高齢者の転倒は全体の約10%から30%にみられると報告されています。つまり多くて、高齢者の約4人に1人以上が転倒していることになります。
高齢者の転倒は外傷や骨折だけではなく、ADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)を低下させ、寝たきりになることも少なくないです。例えば転びたくないから外出しない、家族に外出を止められるなど、転倒を避けるために行動範囲を狭くする。結果、趣味であったゲートボールや友人との外出ができなくなり、日々の楽しみがなくなってしまうことになります。
また、股関節の骨折(大腿骨頸部骨折)は転倒により起こる可能性が高いと言われています。股関節を骨折すると、手術を含めて、全日本病院協会の2019年度のデータだと年間約190万円もの医療費が必要だと言われています。
このように高齢者の転倒は、日常生活・生活の質を低下させるだけでなく、社会的問題にもなっているため転倒予防が大事です。
また、骨折後にリハビリで歩けるようになったとしても受傷前よりも自由に外出することができなくなるケースが多いです。厚生労働省の高齢者リハビリテーション研究会の報告によれば骨折前に自由に行動していた高齢者が骨折後1年後には3人に1人が自由に動けなくなったと言われています。
「さらに令和2年版高齢社会白書(全体版)」によれば高齢者が要介護状態となる原因は「骨折・転倒」が全体の12.5%を占めています。
健康な状態で長生きするためにも、転倒予防についての知識が大切です。今回は転倒の可能性が高い人の判断方法、運動方法について紹介していきます。
様々な研究により転倒しやすい身体能力かを、判断することが可能となってきています。転倒に対しての理解を深め、自身がどれだけ転倒しやすいかを把握することが健康寿命を伸ばすことに繋がります。
転倒の原因は「身体機能」、「認知・心理面」、「環境要因」、「課題や動作の特徴」によるものがあります。身体機能では筋力、感覚、バランス能力があります。
認知・心理面では注意散漫、寝起きなどの意識状態も関係しています。環境要因では階段、敷居、明るさによるもの、課題・動作面ではお盆を持ちながら、チャイムがなり急いで歩くことなどが挙げられます。
高齢者の転倒に様々な危険因子があり、自身がどの要因に当てはまるかを把握することが必要です。
身体機能面ではバランストレーニングを実施すると良いでしょうし、環境要因ではコードなどが邪魔になれば片付けが必要です。
今回は、身体機能面を中心に転倒する可能性がどれくらいあるかを判断するための評価方法、転倒予防のためのトレーニングについて紹介したいと思います。
バランスチェックしてみよう!これが出来ない人は要注意!
バランスチェックで自分がどれくらい転倒しやすいか知ってみましょう。
今回は様々なチェック方法からBBSというものを選びました。その他のチェック方法は次回紹介します。
家に住んでいる人を対象にしたテストになっており、52点未満の場合は、転倒リスクがあります。
BBS(Berg balance scale)
14項目の日常生活的な動作からなり、課題を遂行したBBSときの安全性や安定性を観察して評価します。
また、研究結果から信頼性は高く、複合的なバランス能力を図れることも評価する上で重要視されています。
上記、チェックリストを参考に自分が何点かチェックしてみてください。
チェックリストを印刷し、月ごとに経過を追うことをおすすめしています。
必要器具もストップウォッチ、メジャー、段差のための箱、椅子を用意することで可能です。
ストップウォッチや段差の箱が無い方は代用で時計や階段の一段を使うのも可能です。
各項目0~4点の5段階で56点満点、52点未満(在宅の方)であれば転倒する可能性が高いと言われています。
バランストレーニング
みなさんバランスチェックはいかがでした?
今から紹介する運動をしてみて、バランス能力をUPしましょう!
今回は足指・足首・体幹の筋肉を動かす運動をご紹介させていただきます
運動する時は転倒に十分気を付けてください。
①足指エクササイズ
【こんな人におすすめ】
・片足立ちが苦手
・裸足で立った時に指が床から離れている
【開始姿勢】
・椅子に座る、もしくは床に座る。
【方法】
・足指でグー、チョキ、パーを繰り返し作ります
【注意点】
・足指を開いてパーにするときに外反母趾の人は注意です!痛みのない範囲で指を開くようにしましょ う。
・普段足裏を使えていない人は足裏がつる可能性あるのでご注意を!(笑)
【難易度】★☆☆☆☆
②足首エクササイズ
【こんな人におすすめ】
・前後方向にふらつきやすい
・片足で 10 秒保持できない
【開始姿勢】
・まっすぐ背筋を伸ばし、腰幅程度に足を開きます。
・肘を軽く曲げ、何かに軽く掴まっててください(椅子、机、キッチン台等)。安定したところであればなんでも大丈夫です 。
【方法】
①踵を床から離します
②反対につま先を床から離します
【注意点】
①踵を床から離した時に踵が左右に揺れないように注意してください。また、腰がそったり、前に突っ込みすぎないよう体はまっすぐキープです!
②つま先を床から離した時に腰が丸まったり、後ろに体重が乗りすぎないよう体をまっすぐキープです!
③体幹エクササイズ
【こんな人におすすめ】
・遠くへ手を伸ばすのが苦手
【開始姿勢】
・小さく折り畳んだタオルを片方のお尻に敷きます。
【方法】
・タオルへお尻を乗り上げるようにしながら側方へ手を伸ばします。
・左右10 回×3 セット
【注意点】
・必ず安定した椅子を選び、安全に配慮し、実施して下さい。
【難易度】★★★★☆
まとめ
・高齢者は4人に1人は転倒する
・転倒は怪我をしなくても日常生活に問題を起こす可能性がある
・骨折した1年後には3人に1人が自由に動けなくなる
・転倒しやすい人の判断方法
・転倒予防のための運動方法
いかがでしたか。転倒をすることで日常生活に問題を起こす可能性があります。
今回ご紹介した簡単にできる運動でも、効果がありますので、ぜひ行ってみてください。
自身がどれぐらい転倒する可能性があるかをチェックし、日々の生活の中で転倒を予防する必要があります。
バランスチェックの点数が良くなかった場合は、「杖を使用する」「床に物を置かない」などの対策をしてみましょう。
そして、バランストレーニングを実践してバランス能力を向上させることで転倒による骨折を予防しましょう。
少しでも、皆様の健康寿命を伸ばすことができれば幸いです。
次回も皆様に少しでも役立てて頂けるような情報を発信していきますのでよろしくお願いします。